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松山地方裁判所 昭和45年(わ)163号 判決

本店所在地

愛媛県伊予三島市中曾根町四〇六番地

丸一商事株式会社

右代表者代表取締役

一柳克栄

本籍

高松市古馬場町一三番地の八

住居

右同

一柳克栄

大正三年四月一五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官福水宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人丸一商事株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人一柳克栄を懲役六月に各処する。

ただし、被告人一柳克栄に対しこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人丸一商事株式会社は、愛媛県伊予三島市中曾根町四〇六番地に本店を置き、洋服毛芯の製造販売等を営むもの、被告人一柳克栄は両会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四一年二月一日から昭和四二年一月三一日までの事業年度において、所得金額が三〇、〇八六、〇六二円で、これに対する法人税額が九、九二七、五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上収入の一部を除外するとともに架空仕入を計上する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四二年三月三一日同市三島町字本瓜一六一五番地の一所在の伊予三島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二、三〇二、九五四円でこれに対する法人税額が三、七一四、六八〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額六、二一二、八〇〇円を免れ、

第二、昭和四二年二月一日から昭和四三年一月三一日までの事業年度において、所得金額が三四、八一一、四二三円で、これに対する法人税額が一一、五六五、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により所得をしたうえ、昭和四三年三月三〇日前記伊予三島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六、七九九、九五四円でこれに対する法人税額が五、二六八、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額六、二九七、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実(判示第一、第二の各事実)につき

一、登記簿謄本

一、一柳島の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、岡崎勝次、松井伊之助作成の各上申書

一、岡山高作成の証明書

一、一柳島、岡崎勝次、和田威雄の検察官に対する各供述調書

一、被告人一柳克栄作成の上申書

一、同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一、同被告人の検察官に対する供述調書

一、同被告人の当公判廷における供述

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の証明書(自昭和四一年二月一日至昭和四二年一月三一日法人税申告書写)

一、理郎作成の証明書

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の証明書(自昭和四二年二月一日至昭和四三年一月三一日法人税申告書写)

一、朝江、越村、丹羽一雄(二通)作成の各証明書

一、牛窪岩太郎作成の定期予金証書写

一、鎌田良一作成の金銭支払請求書写

(法令の適用)

被告人一柳克栄の判示各所為は法人税法一五九条一項に、被告人丸一商事株式会社の判示各所為は同法一五九条一項、一六四条一項に各該当するところ、被告人一柳克栄につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人両者の右各罪はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人丸一商事株式会社については同法四八条二項により所定各罰金の合算額の範囲内において、被告人一柳克栄については同法四七条本文、一〇条により重いと認められる判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において、被告人丸一商事株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人一柳克栄を懲役六月に各処し、被告人一柳克栄に対しては情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤国雄)

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